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2008年05月21日

【兵庫県芦屋市】芦屋美博、新たな体制模索

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(日経新聞、大阪版、08.4.1、夕刊)
 特定非営利活動法人(NPO法人)が実質的に運営する公立ミュージアムとして、全国的に注目を集めてきた芦屋市立美術博物館(芦屋美博)が、大きな岐路に立たされている。芦屋市は2009年度から指定管理者制度を導入する方針で、今年度中に新たな運営組織を決めなければいけない。現状と展望を探った。

 「この2年間で美博は大きく変わった。市民に開かれた場所になってきたと自信を持って言える」。館長の藤原周三・芦屋市教育長は胸を張る。芦屋美博は2年前まで市の財団が運営していたが、財政難などにより、休館の危機に直面。市民有志らがNPO法人「芦屋ミュージアム・マネジメント(AMM)」を組織し、市から運営を受託する形で2006年4月に再スタートを切った。
 客足は順調だ。07年度の入館者数は約2万4千人と2年前に比べて63%伸び、藤原教育長の自信を裏付ける。この間、古書市や物産展など展覧会以外の催しにも力を入れ、幅広い客層に訴えた。大阪画壇や現代美術などの企画展も好評で、07年度の観覧料収入は約260万円と06年度の2倍に達した。展覧会の事業費が年間1200万円と、財団が運営していた時から実質半減したなかで、健闘したといえるだろう。
 だが、AMM理事長を務める関西学院大学の角野事博教授の自己採点は厳しい。「反省点の方が多い。NPOで運営する限界も感じた」と言う。AMMの理事は非常勤で、報酬はない。「理事はほかに仕事があり、専従で携わっていない。きちんと給与を保証した上で、責任を明確にすべきだと感じた」と語る。

 芦屋美博は1991年に開館。吉原治良ら、戦後の前衛美術を主導した「具体美術協会」のコレクションで知られる。かつては前衛美術や写真などの企画展を積極的に開いてきた。だが、現在はAMMと市との契約が一年ごとで、先々の展覧会を企画することもままならない。学芸課の明尾圭造課長は「美術館・博物館の仕事は歴史を紡いでいくようなもの。単年度で契約するのは無理がある」と訴える。

 芦屋市は来年度から指定管理者の導入を目指しており、現在の体制は今年度で終了する。年間の議会運営を考えると、6月の議会までに新たな引き受け手も含めて方針を決める必要があるが、メドは立っていない。9月の議会にずれ込んだ場合、十分な準備期間が取れず、新体制へのスムーズな移行は難しくなるという。
 こうした状況を受けて、明尾課長は引き受け手として公益法人を設立する案を検討中で、近く市に提示する。法人には一部の学芸員が役員として運営に加わり、芦屋にゆかりのある経済人などの有識者も迎える計画だ。「学芸員が公益法人を組織する例は、おそらく全国で学芸員、運営参加案も初めてとなる」と明尾課長。AMMの角野理事長も「現場の学芸員らと話し合いを重ねて、次の体制を模索したい」と支援する考えだ。

 自治体の財政難、公立ミュージアムの存在意義、指定管理者制度の是非──。芦屋美博をめぐる動きは、近年の文化施設の現状をそのまま反映してきた。これまでの経験から何を得て、次につなげるのか。今、議論を十分尽くさなければ、将来再び存続の危機が訪れかねない。
posted by むっちー at 16:58 | Comment(0) | TrackBack(1) | 新聞記事(08年4月)| edit
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